先日、女子テニスシングルス
ランキング世界2位の
大坂なおみ選手が
全仏オープン選手権を
棄権し、6月1日に自身の
SNSで、
“2018年の全米オープン後
からうつ病に悩まされている”
ことを公表しました。
かなりインパクトがある
ニュースだったと感じました。
ワールドクラスの
スポーツ選手は、常々、
世界戦で実践を
積んでいる上に、
マインドトレーニングを
行っているので、
“メンタルは強く、プレッシャーに
負けづらい”ものだと
考えがちですよね。
しかし、
様々な情報を集めてみると、
アスリートも人間ですから、
コンディションが
いい/悪いがあり、
それにともなって、
メンタル不調/気持ちの動揺で
不安や恐怖を
感じることもあるそうです。
自分のコンディションは、
体感で理解できますから、
これぐらいの状態ならば、
どれくらいの結果が出るか、
はトップクラスになってくると、
ある程度予想出来て、
そんなに予想が
外れないそうです。
つまり、数か月後に
世界戦があるけれど、
コンディションもメンタルも
上がらない/仕上がらない時が
あれば、結果は予測できるので、
大会当日も含めて数か月間、
浮かない気持ちを
感じていなければ
ならない訳です。
芳しくない結果についても、
SNSが発達していて
一瞬の内に世界中に
拡散されてしまうので、
さらにネガティブな気持ちを
引きずらざるを得ない
状況になってしまいます。
例えば、
国際プロサッカー選手会が
行った調査によると、
不安障害やうつ症状は
現役選手で38%
が
睡眠障害は現役選手で23%、
引退選手で28%の人が
悩まされていたという
調査結果があります。
一般人と比べて、
明らかに不安を抱えやすい
傾向がうかがえます。
また、アスリートは内面の不安を
吐露しにくい環境にもあります。
アルコールで発散できないし、
弱音を吐こうにも周囲は
利害関係者ばかりということが
多いからです。
アスリートは、
みんな始め、
“単純に楽しい”
“かっこいい”
“他人よりうまく出来る優越感”
“練習によって、次々に課題を
達成できる達成感”
などの楽しむ気持ちだったのに、
“より強くなるために”
“トップクラスの強豪達の中で、
自分を試してみたい”
という思いから、
いつの間にか、
練習量が多くて、
鬼監督/コーチ達の恐怖に
支配されて、勝つことが
当然のことと
要求されるようになって、
いかに鬼監督/コーチ達から
怒られない/体罰をうけないように、
(監督/コーチ達にとっての)
理想のアスリートになるか、
という目標にすり替わって
いってしまっている訳です。
最初は動機付けが、
“楽しい”
“かっこいい”
“優越感”
“達成感”
などの楽しむ気持ちから、
いつの間にか、
“怒られないように”
“批判されないように”
“期待を裏切らないように”
“周囲の理想に沿うように”
変化していって、その状況を
後押しするように、
日本で伝統的に
重んじられている、
休日なし、長時間の練習
と
鬼監督/コーチ達の
鉄拳制裁によるしごきに
よってますます強化されていく
のだと感じます。
そのスポーツ根性論によって、
育てられた生き残り達が
現在、監督/コーチに
就いていると思われるので、
それ以外の成功体験を知らないから、
“自分達が教えられたようにしか、
教えられない”という現象が
起きているのだと思います。
アスリートが結果を出して、
有名になればなるほど、
道具やウエアのスポンサーや
良質な練習環境を
提供してくれるスポンサー、
只々、金銭的な補助を
してくれるスポンサー
などが加わって、
競技に集中できる状態になると
思われますが、
逆に心理的には暗黙の
プレッシャーになる可能性があり、
ますますアスリートを
追いこんでしまう訳です。
スポーツに限らず、
何かを極める過程で、
最初は
“楽しい”
“かっこいい”
“優越感”
“達成感”
などの楽しむ気持ちから
始まったものが
だんだん周囲の他人達の
協力を得られることで、
個人の夢や目標では
なくなっていってしまう。
周囲のサポートをしてくれる
人達の夢や目標に
すり替わっていき、
その潜在的な膨大なエネルギーを
自分を動かすための
肯定的なエネルギーにも使えるし、
否定的なエネルギーで
自分を傷つけ続けることも
できることでしょう。
この状況をより効果的に
使うためにも、メンタルケアとして、
カウンセリングや心理療法が
活かされることを
願って止みません。