“自己同一化”が生み出す悲劇

Webニュースを見ていたら、

 

大学入試共通テスト会場と

なっていた東京大学前歩道で、

傷害事件

(通行人3名をナイフで刺した)

発生”と報道されていました。

 

犯人は、未成年17歳で、

愛知県の超名門中高一貫校に

通っていたそうです。

 

そして、動機は

 

“医者を目指していて、

東大に入ろうと思っていたが、

1年前から成績が

落ちて悩んでいた”

 

“勉強がうまくいかなくて、

事件を起こして死のうと思った”

というものです。

 

とても身勝手な犯行動機であると

思われる反面、私自身、

 

学歴コンプレックスに

凄く悩んだ経験があり、

 

その時の経験が

今も影響をしていると

 

思うので、この容疑者の

少年を凄く理解できます。

 

 

私は高校時代、

 

“いわゆる無名校から

有名大学に”

 

ということを生業としていた

私塾に通っていました。

 

毎年、

現役で有名大学に

 

 

合格実績がある生徒は

丁重に扱われて、

 

そうではない生徒は

それなりな対応でした。

 

“文句があるなら、

実績(成績)を出せ!”

 

という感じで、平日は6時間、

土日祝日は12時間、

勉強をさせられて、

 

“デカイ事したければ、

有名大学に行け!”

 

“偉くなりたければ、

有名大学に行け!”

 

“遊ぶのは、大学に行ってからだ!”

 

“高校では、友達をつくるな!

付き合いが時間の無駄だ”

 

など、塾で講義があるたびに、

塾長から言われ続けて、

 

洗脳されていきました。

 

 

当時の私は、

学歴至上主義で、

 

“有名大学に合格した人間は、

将来、安泰で

幸せな人生が待っている、

そうでない人間は

一生差別され続ける”

 

と思い込んでいました。

ですから、他人を判断する基準が、

 

“勉強できるかどうか”

“有名大学卒かどうか”

であったと思います。

 

 

このような状態を

心理用語では、

 

“自己同一化”といって、

 

“有名大学卒もしくは

合格すること”

 

 

“人間の存在価値”

同じものと捉えていた訳です。

 

文字通り、

血の滲むような努力をして、

 

高校3年間の時間を

過ごしていたと思います。

 

“勉強が出来て、有名大学に

合格できる自分自身”

 

という人間に存在価値を

上げるために、高校生だからできる、

 

放課後クラブ活動やアルバイトは、

一切やらず、友達付き合いも

 

一切やらず、その時間を

全て勉強することに充てていました。

 

 

ですから、

上記の容疑者の少年の心境として、

 

超名門中高一貫校に

通学していた訳ですから、

 

おそらくその学校に合格するまでは、

成績は優秀であったのだと思います。

 

そして、その学校に

入学してみれば、

 

周囲はとても優秀な

学生しかいない状況で、

 

ご自身の劣等感を

感じざるを得ない、

 

とても辛く、苦しい状況であったと

想像できます。

 

それでも

 

“東大に入れば、

医学部に合格できれば・・・”

 

きっと、自分自身が持っていた

劣等感を克服して、

 

大逆転できると

思われたかもしれません。

 

 

その理想・目標に向かって、

努力を継続することが

 

出来たかもしれませんが、

超名門中高一貫校だけに

 

過去のデータから、

志望校の合格可否

 

試験本番前にわかってしまうことで、

自分自身に

 

 

絶望してしまったの

かもしれません。

 

容疑者の少年にとってみれば、

自己同一化が

起きていたとすれば、

 

“東大に合格できる自分、

医学部に合格できる自分”は

 

存在価値があるが、

合格できない自分は価値がない、

 

と思い込んでいた

かもしれません。

 

ご自身が積み上げられてきた

努力が成果に繋がらずに、

 

失望に変わり、怒りをもって、

それが自暴自棄になって、

 

今回の犯行にいたったの

かもしれません。

 

 

確かに、直接、犯罪行為を行ったのは、

容疑者本人ですから、

 

罪を償わないといけません。

 

しかし、“自己同一化”を

起こさせてしまう風潮は、

 

あらゆるところで散見できます。

 

 

営業職であれば、

 

“売上げをあげ続ける営業員は

価値があるけど、

あげられない奴はクズだ”

 

主婦であれば、

 

“家事育児・仕事が完璧にこなせる

私は価値があるけど、

そうでない私はダメだ”

 

 

一般的な欲望として、

よく伺うのは、

 

“社会的地位、高額収入、などの

上級国民な自分は価値があるけど、

そうではない自分は認められない”

 

などがあります。

 

結論として

あなたの存在価値は、

 

あなたの外側にはありません。

 

いくら有名大学を卒業して、

いくら医者になっても、

 

いくら社会的地位をもっても、

いくら高額収入を得たとしても、

 

その次の欲望に向かって、

突き動かされることでしょう。

 

 

“自己同一化”

は、そもそも空虚感、

 

劣等感を持っている人に

起こりやすい現象です。

 

 

“ダメな”自分に

成りたくないという理由で、

過剰な努力、頑張りをして、

体調不良でも、止めることが怖くて、

止められない人は、

ココロの状態が不安定になります。

 

ですので、

そのような兆候がある人は

、是非、ご相談くださいね。

 

 

あなたの勇気をお待ちしています。