“わかる”、って言葉、のるか反るか!?

最近読んでいた本で、

東畑開人さん著、

 

『聞く技術、

聞いてもらう技術』の中で、

 

心理カウンセリングを

生業としている私には

 

とても興味深いパートが

ありました。

 

それは、

“わかるには2種類ある”

 

というものです。

 

1つ目は、

知識として知っているという

 

意味での“わかる”です。

 

様々なメディアを通じて、

日々、大量の情報が

 

流れています。

 

ですから、ご自身の

最も関心がある事以外にも、

 

中程度関心がある事に

関する情報もキャッチして、

 

知識として蓄えていますよね。

 

“食べながら、痩せるには、

13食がいい”

 

とか、

 

“脳活動活性化には、

早寝早起きがいい”

 

とか、

 

“精神衛生を保つためには、

マインドフルネスがいい”

 

とか、

 

皆さんも聞いたこと

あるんじゃないでしょうか?

 

 

私も学術書や専門書を

読みながら、クライアントが

 

訴える症状と照らし合わせ、

知識として知っている

 

“わかる”という状態に

なったことがあります。

 

この第一番目の

“わかる”という状態は、

 

とても役に立ちますよね。

 

もう一つ、

2番目の“わかる”は、

 

(本文抜粋);

外側からではなく、

内側から相手がどのような世界を

いきているのか、わかること。

 

とありました。

 

心理セラピスト/カウンセラーは、

クライアントとの間に信頼関係を

 

築き上げなければ、

仕事が進められないので、

 

クライアントとの会話の中で、

“わかる”もしくはそれに類した

 

“なるほど”“そうですよね”

などをよく使います。

 

でも、東畑さんのご指摘によって、

自分がいかに上っ面の言葉を

 

使っていたか、ということを

思い知らされた

 

部分がありました。

 

 

例えば、

 

“未だに、何をしていても

安心感が得られない”

 

“人前に出ると

手足が震える”

 

“学校・会社に行こうとすると、

お腹が痛くなったり、

頭が痛くなったり、

吐いたりする”

 

などの症状で

日常生活、

 

生き苦しい、つらい、を

主訴とされる方が

 

私のところに

いらっしゃいます。

 

身体感覚として、

“辛い、苦しい”を訴えられて、

 

上記以外の症状を

体験される方も

 

いらっしゃいます。

 

その際、

上記で抜粋させて頂いた、

 

“外側からではなく、

内側から相手がどのような

世界をいきているのか、

わかること。”

 

つまり話し手である

クライアントと全く同じ体験をした、

 

もしくは、

同じでないにしても、

 

比較しようがありませんが、

同じくらい辛い・苦しい体験を

 

したかどうか、

同じ体験をしていれば、

 

“わかる”という言葉は、

クライアントを

 

癒すエネルギーを持って、

快方に向かうものと思います。

 

なぜなら、

 

“わかる”イコール”理解”であって、

今まで誰にも話せなかった、

 

もしくは、

 

誰に話しても、

理解されなかった課題・問題を

 

持っていたけど、

同じ経験をしている人がいて、

 

その人からの“わかる”という

言葉が暗に意味しているのは、

 

“あなたが置かれている

大変な状況を理解できるよ。

 

だって、

同じくらい辛い・苦しい体験を

 

私もしたから”

というエネルギーが伝わるから、

 

“わかる”を伝えられた方は

癒されていきます。

 

でも、

心理セラピスト/カウンセラーでも、

 

全く同じような体験をしたことない

、という場合もあります。

 

この際に使用される

“わかる”は、1つ目の“わかる”、

 

知識として知っている

わかるであって、

 

癒しに繋がらない

時だってあります。

 

それでも、

心理セラピスト/カウンセラーが

 

クライアントを癒す言葉の

エネルギーを持っているのは、

 

全く同じ体験ではないけど、

辛く・苦しい体験を

 

したことがあるからです。

 

不完全親子関係、虐待、

極端な人格、異性関係、

 

自己肯定感、自己受容など

お悩みは多岐に渡りますが、

 

全く同じプロセスを使って

感じ取る辛く・苦しい体験で

 

なくても、その時感じた

辛さ・苦しさは

 

体感としてあるので

、その辛さ・苦しさの

 

真っ只中にいる人が

どのようなことを考えて、

 

どのような感情を感じるのか、

推測し、理解すること自体、

 

心理セラピスト/カウンセラーにとって

難しいことではないです。

 

 

最近では、

 

より専門性が進んで、

“親子関係専門”や、

 

“離婚専門”や、

“自己肯定感専門”など

 

と冠して、活動を行っている

心理セラピスト/カウンセラーが

 

増えてきたように思います。

理由は簡単で、

 

2つ目の“わかる”のエネルギーを

持つに至った体験をして、

 

乗り越えてきているからです。

 

心理セラピー/カウンセリングのように、

11ではなくて、

 

集団の“わかる”力を

利用した方法もあります。

 

これは応用も含めて、

多くの分野で

使われています。

 

例えば、

 

がん患者のコミュニティ、

 

断酒会、

 

発達障がいの子供を

持つお母さん、

 

育児ノイローゼになった

お母さん、

 

薬物依存症など

 

誰にも話出来ずに、

ひとりで悩んでいた方々が

 

集って、お互いの

日頃経験したお悩みを

 

ぶちまけて、

アドバイスや意見をもらったりして、

 

“わかる:理解される”感覚を

得て、集団の力によって

 

癒されていく場合もあります。

 

 

このように、

 

“わかる”には、2種類あって、

特に、2番目の“わかる”は、

 

他人を理解する観点においては、

非常に重要ですから、

 

快不快でなく、

好き嫌いではなく、

損得でなく、

 

辛く・苦しい体験にも

価値があるもので、

 

なるべく回避するものではない、

ということは理解して

 

頂けると思いますが、

人間、その辛く・苦しい渦中

 

ど真ん中にいる時は、

頭では

 

“辛い・苦しい経験には

価値がある”

 

とわかっていても、

逃げたくなるのが

人間なんですよね。

 

でも、幸せな人生を送るためには、

2番目の“わかる”を

 

ご自身の中に増やしていくことが

大切なんです。