心理カウンセラー/セラピストを
やっていて思うのは、
“どんなことでも
やり過ぎれば苦しくなる”
ということです。
心理の世界で、
よく言われる言葉として、
“他人軸ではなくて、
自分軸で生きなさい”
という言葉が心理読本や
心理講座/セミナーでも
よく言われています。
皆さん、聞いたこと
あるんじゃないでしょうか!?
実際に、その通りに行動をしてみて、
“生きることが楽になった”
“自分の人生を
生きているように感じる”
などの感想をもって、
生き方が激変した方々も
多くいらっしゃいます。
ただ、
“やり過ぎれば、苦しくなる”
という観点でお話したい、
と思います。
例えば、
上記でいえば、
“他人軸ではなく、
自分軸で生きなさい”
ということについてですが、
元々は、
自己肯定感が低く、
自分のことを信用していない、
自分のことが嫌いな人達は、
周囲の人達から
嫌われたくないので、
自分自身の頭を使って、
意思決定をする事がなく、
違和感があっても、
我慢して、
周囲の意見に
合わせることを
ひたすらやり続ける方々がいます。
そして、その状態がずっと続けば、
まったく違和感を
持つことさえもなくなってしまい、
自分軸が無くなってしまいます。
この状態を
“自分の意見/意思がない、
自分軸がない”
状態で、
行動は意識的にも、
無意識的にも、
全て他人に決められているので、
他人軸で生きていると言われ、
他人からいい様に
利用されたりします。
そして、
他人軸で生きている人達は、
他人の要望にずっと応え続けて、
自分を押し殺し、
我慢し続けているので、
とてもストレスが溜まります。
ですから、
このような症状をもっていても、
持ってなくても、
他人軸で生きている人達は、
苦しみを抱えながら生きていて、
散々悩んだ末に、
心理カウンセリング/セラピーに
足を運ばれる訳です。
そこで、
心理カウンセラー/セラピストから、
“他人軸ではなくて、
自分軸で生きなさい”
という方向性の施術を受けて、
“ありのままの自分で生きなさい”
“長所も短所も全部含めて、
全てあなたです”
“自分の感情に正直になりなさい”
などのアドバイスをもらい、
そのように行動をしていく訳ですが、
やり始めてみると、
最初は凄く凄く抵抗があって、
その度に大量の脇汗を
かいていました。
しかし、
徐々に、我慢することがなくなり、
思ったこと、
感じたことを素直に、
そのまま言ったり、
行動したりできるようになって、
過去に感じていたストレスは
皆無になります。
当事者本人にとっては、
長年の悩みがクリアに
なって一安心ですが、
この自分軸をさらに強めて、
周囲の他人達に
一切惑わされることなく、
ありのままに我慢せず、
発言、行動をしていると、
今度は周囲から敬遠されて、
だんだんと人がいなくなり、
最後に残っているのは、
過去の当事者本人のように、
自分自身で物事の
価値判断ができない、
依存的な人しかいなくなります。
他人軸で生きることが苦しくて、
心理カウンセリング/セラピーを
受けて、アドバイスをもらって、
自分軸で生きられるようになったのに、
自分軸で生きることを
さらに強化していくと、
人間関係がうまくいかなかったり、
けんかが絶えなかったり、
思ったようにうまくいかない現実に
ガッカリするかもしれません。
自分軸を確立するために、
心理カウンセラー/セラピストの
アドバイスを素直に聞き入れて、
行動して、
確かに、
一時的には“良好な状態”でしたが、
さらに振り切ってみると、
弊害しか感じなくなって
しまうことがあります。
どんなことでも
“やり過ぎれば、苦しくなる”
という訳です。
“逆側の他人軸”と呼ばれる状態で、
当事者本人は
過去に感じていた苦しさとは
別の種類の苦しさを
感じることになりますが、
本当の意味で、
“ありのままの自分”で、
楽に、幸せに生きていくためには、
他人軸→逆側の他人軸→自分軸
というプロセスを通過しないと、
本来の意味での、
“自分軸で生きる”状態
には成れません。
ただ皮肉なことに、
“やり過ぎれば、苦しくなる”訳ですが、
やり過ぎ状態は、
やり切った経験がなければ、
理解出来ないので、
一度はやり過ぎてみる価値はあります。