
前号で、
「歌舞伎町に沼る若者たち」
搾取と依存の構造:
佐々木チワワ著から
「感情労働」という言葉を
引用させてもらいましたが、
さらに興味深い言葉があって、
「誇示的消費」
ということばです。
本文では、
新宿歌舞伎町で働く
ホストの行動やホスト界隈での
ルールなどが紹介されていて、
以下抜粋
・「誇示的消費」とは、
周りに見せびらかすための、
周囲からの眼差しを
意識した消費行動
・個人的な欲求というより
社会規範のなかで
「見栄を張らされて
しまっている」状態
・ホスト個人が
そうしたいからではなく、
むしろ、ホスト社会規範に
従っている
ホスト界隈の
You tube動画をよく見ると、
1着 軽く50~200万円する
オートクチュール(高級仕立服)
や
超高級ブランドのカジュアルウエア、
革靴もしくはプレミアムスニーカーが
10~20万円、
時計は
おそらく1000万円近くするものを
身に着けていることが目に映ります。

その上、
アクセサリー類
(イアリング、ネックレス、指輪、
ブレスレット、ブローチなど)
フル装備で
総額約2,000万円の装いで、
いつも煌びやかな光を放っています。
美容意識も当たり前に高く、
メンズメイク、ヘアメイクは
もちろんのこと、
顔面もどこかは必ず美容整形術を
受けています、
歌舞伎町でみるホスト看板は、
同じような顔が並んでいる
印象です。
研究のため、
You tube動画を見て、
私が感じていたことと
上述の著者の指摘が
ピッタリ合っているのが、
“個人の欲求というより
「見栄を張らされてしまっている」”
という文言です。
概して、この現象を見てみると、
新宿歌舞伎町という
コミュニティ:共同体では、
ホストクラブで働くホストは、
上述のような豪華な高級品を、
他人よりも優越感を
感じなさいという競争意識
を植え付けられているので、
“見栄を張らされてしまう”という
力学が働くということです。

競争して、他人に勝って、
優越感を感じなさい
という植え付けられた意識が、
見栄を張らされてしまう状態を
作り出し、
行動をおこさせている訳です。
この見栄を張らされてしまう状態の自分
と
素の自分、
「ホストとして存在」している時の自分
と
当人の自分、
仮面をつけている時の自分
と
はずしている時の自分、
演出と実像、
だんだんとこれらが
区別つかなくなっていきます。
そして、
特に自己肯定感が低い人は、
だんだんと、
自己顕示欲、承認欲求が
満たされることが快感なので、
みずから能動的に、
個人的な欲求として、
周囲を意識した
買い物行動になっていきます。
人間の欲求・欲望には、
際限はありませんからね。
この能動的に、
買い物をやり始めると、
高級ブランド店の店員は、
大切なお客様として、
特別な顧客として、
とても丁寧に、手厚く、
接客してくれます。
この行為がまた自己顕示欲、
承認欲求を満たしてくれるので、
行動に拍車がかかります。
買い物依存症になる
可能性があるかもしれません。

実際、買い物依存症の方々は、
クローゼットいっぱいに
購入した品物が
置かれていますが、
封が空いていない、
使用されていないものが
ほとんどです。
それに、
クローゼットに高価そうな
洋服がうねりをなして、
掛けられていますが、
朝支度をする際、
“今日の私の気分を
満たす服がない”と言う訳です。
ですので、買った後に、
使用することを
目的としている訳ではなく、
買い物するプロセスが快感で、
依存状態になっていく訳です。
周囲に誇示しなくても、
見栄を張らなくても、
全く問題ありません。
あなたという人間の価値とは
一切関係がないからです。
“〇×△を持っていると
周囲に誇示できる人は
認めるけど、ない人は認めない”
ではなく、
“何があっても、なくても、
人間の価値には関係がない”、
消費行動は他人に
見せびらかして(誇示する)
承認欲求を満たすために
やるのではなく、
当たり前ですが
最低限が必要だからやる訳です